いま、産地は二大問題をかかえています。
ひとつは温暖化。
平均気温の上昇によって、気象の変動とともに
コーヒーの大敵であるサビ病がおこりやすくなりました。
現地では、生産量を確保するために、品種改良の研究を進め、
より強い品種の木へシフトするようになりました。
もうひとつが人手不足です。
労働力をおぎなうために、機械化と効率化が進みました。
現場は、環境の変化に適応しようとしているのですが、
昔あったコーヒーづくりの形は、どんどん姿を変えています。
この状況を前にして、わたしが注目しているのは、
いままで、マイナーな存在とされていた国の生産者たちです。
とくにドミニカやルワンダなど、アフリカ大陸に位置する国から生まれる
コーヒーに期待しています。これら国々は、温暖化による影響が薄く、
人口不足の問題もまだ大きくないからです。
マイナーな存在という位置に甘んじていた最大の問題は、
紛争などの理由によって国内情勢が安定していなかったことでした。
しかし、近年になって彼らは力を合わせて諸問題を乗り越え、
経済発展を進めました。
期待をかけている最大の理由は、彼らの現場に
昔ながらの人の手によるコーヒーづくりの原風景が残っていることです。
あと10年もすれば、彼らはメジャー国をしのぎ、
“New Classic(新古典派)”と言われる存在になるかもしれません。
その期待を込めて、3月の『手と手』は、
彼らがつくりだしたコーヒーを中心に取りそろえました。
目の前の壁を乗り越えてきた人たちの希望の香りが、ここにあります。