「前の年までよかったのに、今年はちょっと…」
届いた生豆を焙煎して、このような感想を抱くことがあります。
理由はさまざま考えられます。
近年生じたコーヒーブームによって、
産地国ではさらなる効率化が求められるようになりました。
効率を求められたなら、どこかで手間をはぶかざるをえません。
たとえば、コーヒーの樹を育てるには、多くの肥料を必要とします。
安くつくろうとすれば、使う肥料を少なくすればいい。
その樹から収穫した生豆の見た目は、同じです。
ですが、焙煎したあとの味の広がりは少なくなります。
苦労して育てても、コーヒーは収穫までに一年かかります。
このため、コーヒー栽培をあきらめて、
もっと現金化しやすい農作物に切り替えるつくり手たちが
後をたたなくなっています。
この状況のなかで、いいものを手に入れようと考えれば、
生産者の方に“安心”してコーヒーづくりに従事してもらうしかない。
わたしどもはこのように考えました。
生産者における“安心”とは、「できあがったものは必ず買う」と約束すること。
この考えから、『手と手 Connection Plan』をはじめました。
あれから20年以上の月日が経過しました。
さまざまな銘柄をお届けするなか、お客さまから
「あの香りと味を、もう一度たのしみたい」
と言っていただけることがあります。
今月の『手と手』は、この「もう一度」のリクエストを
多くいただいた銘柄を中心にご用意することができました。
「もう一度」の声をいただいたことは、できるだけ生産者の方に伝えています。
この声を聞いた彼らの言葉は、共通しています。
「つぎはもっといいものをつくるから、期待していて」