残念ながら、つくるコーヒー豆の品質が落ちていく
コーヒー農園が多くあります。
たとえば、品評会などで高評価を得た農園のコーヒーが、
翌年以降、どんどん品質が下がっていくということは
不思議なことではありません。
特に、オーナーが変わるときなど、
その傾向が強く出るように感じます。
いつも、いいものをつくりつづけようと、
だれもが考えていると思いますが、予想もしていなかった
事件もおこります。なかなか理想通りにはいきません。
ですから、いままでの歩みのなかで、豆の品質に納得ができず、
取引がとぎれてしまった農園もあります。
そうしたなか、逆に取引が10年以上にわたり
つづいている農園もあります。
彼らの元から届く生豆を見て、驚かされるのは
いつの年も品質が高い状態で安定していることです。
彼らはどうやって品質を高い状態のまま
安定させているのかというと、答えはシンプルです。
収穫したコーヒー豆が自分たちの基準に満たないようなら
出荷しないのです。
これは、本当に勇気のいることだと思います。
基準に満たないものでも、出荷すれば農園として
当年の売上はたつからです。
彼らがそれをしないのは「量」を追うからではなく
取引を重ねる人との「信用」をたいせつに考えて、
コーヒーづくりをするからでしょう。
彼らの多くは、コーヒー栽培をはじめてから
長い歴史を有しています。
コーヒー農園は、つづけることがもっともむずかしいと
言われるなか100年以上継続している農園もあります。
「信用」を基盤としたコーヒーづくりを行っていることが
農園の歩みを自然と長いものにしていったのだと思います。
焙煎しているものとして、
こうした農園と長い縁をもてていることは、
とても幸運なことだと思っています。