小さい容量の焙煎釜をつかって、時間と手間をかけて焙煎する。
この『小さな焙煎』こそが、わたしどものコーヒーづくりの形です。
わたしがコーヒー業界に入ったころは、大量にコーヒーをつくることが“当たり前”とされていました。
そのためには、一回の焙煎でたくさんのコーヒー豆ができあがる大型の焙煎機が必要となります。
創業者の土居博司は、この“当たり前”に背を向けることにしました。
「量」ではなく「質」にこだわると決めたからです。
ご注文のコーヒーは、一品一品、豆の状態を見て、時間と火加減を調節しながら焙煎していく。
それは、小さな焙煎釜でしかできないことです。
不特定多数の方のコーヒーはつくらない。
わたしどもを信用してご依頼いただいた方のためのコーヒーをつくることに特化する。
横一列に6台が並ぶ焙煎釜の配置。
この“形”は、土居博司の考えのもと生まれました。
もちろん、手間と時間はかかります。一日に、それほど多くのコーヒー豆を焙煎することもできません。
土居博司の意志を受け継いだわたしどもは、彼が生み出したこのめんどうな『小さな焙煎』によるコーヒーづくりを、守りつづけていくと決めました。