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「天日乾燥」という風景

あたり一面にしきつめられた生豆。
その豆に太陽の光を当てて、じっくり時間をかけて乾燥させていく。

「天日乾燥」とよばれるこの風景は、多くの生産国で“当たり前”に見ることができるものでした。

この光景を目にすることが、年々むずかしくなっていっています。

大型の乾燥機を導入する農園が増えたからです。

機械をつかって乾燥すれば、大量のコーヒー豆を短時間でつくりだすことができます。

温度をコントロールしたなかで処理できますから、天候の変動にも左右されません。
味も安定しやすくなります。人の手間もかかりません。

逆に昔ながらの伝統農法を守って、太陽の光で豆を乾燥させていくと時間と手間がかかります。豆の乾き度合いにムラを生じさせないよう、人が四六時中、豆を撹拌(かくはん)しなければなりません。

天候の変動によって収穫量が左右されます。味も年によって変わります。

「売る」ことだけを考えたら、問題だらけの農法なのかもしれません。
「天日乾燥」によってつくられたコーヒー豆は、年々手にいれにくくもなっています。

しかし、ぼくは、こうやって人の手間がかかってつくられたコーヒーを、採用しつづけたいと考えています。

現地の人の熱意が込められてつくられたコーヒー豆を、自分のお客さまにお送りしたいからです。