すべての豆を自分たちの目で確認する。
不良豆があれば取りのぞく。
この手順を「ハンドピック」とよんでいます。
新人にとって、最初の壁となる仕事です。
不良豆といっても、数値ではかれるものではありません。
どういった豆を取ればいいのか、教えられたからといって、すぐに理解はできません。
身につけるには、時間がかかります。
多くの時間、同じことの繰り返しになりますから根気も必要です。
ときに音をあげたくなるときもあるようです。
ただ、どんなことがあっても、わたしたちはスタッフに
かならず、これを身に着けさせます。
50年間「ハンドピック」をつづけてきたことによって、
この仕事には味を磨きあげることと同時に、
もうひとつ意味があることを学んだからです。
焙煎の基礎訓練になるということです。
豆を見つめることをくりかえすことで、
はじめて豆の特徴や焙煎した後の豆の色のちがいをつかめるようになります。
小さなことを淡々とやりつづける力。
それが、コーヒーをつくるための基盤です。
だから、わたしたちはこの力を育みつづけながら、コーヒーをつくりつづけます。