先日、エルサルバドル マラカラ農園オーナー、ギジェルモ・アルバレス氏に来訪いただき、インタビューをさせていただきました。
コーヒー農園のオーナーとお会いしたときに、わたしが必ず聞く質問があります。
「あなたが品質の高いコーヒーをつくりだすうえで、もっとも大切だと考えることは何か」というものです。
聞いたことがない画期的な農法や手法の話が聞けるのではないか、というとそんなことはありません。
ギジェルモ氏の答えはこうでした。
「コーヒーの実の収穫時に、腕の良いピッカー(摘み者)をいかに確保するか。これにつきる」。
真っ赤に熟した実の中に、青い実が混じっています。この青い実から取り出された生豆が味を大きく落とします
こう答える農園オーナーは、ギジェルモ氏だけではありません。同じように答えるコーヒー農園のオーナーは、実はとても多いのです。
コーヒーの生豆は、その赤い実の中に2つ向かい合った形で入っています。完熟したコーヒーの実から収穫された生豆が、より品質の高いものとなります。
コーヒーの実の摘み取り作業風景。真っ赤に熟した実だけを摘み取ることができるピッカー(摘み者)は少数です
ただ、完熟した実だけ摘み取るということが、とてもむずかしいのです。なにより丁寧さと根気を必要とするからです。たいていの場合、未成熟の青い実まで一緒に摘み取ってしまうのです。
完熟した赤い実から取り出した生豆も、未成熟な青い実から取り出した生豆も、見た目に違いはほぼありません。ただ、未成熟の実から取り出した生豆が、そのコーヒーの味を大きく落としてしまうことは確かです。
ギジェルモ氏が答えるように、人間の丁寧さと根気しか、品質の高い生豆は生み出せないようです。
そして、わたしは、ギジェルモ氏のように答えてくれるオーナーのコーヒー農園から、だいたい生豆を買い付けています。