かつて、収穫されたコーヒー豆は、一ヶ所に集められ、全て混ぜ合わされて輸出されるということが、当たり前でした。
混ぜ合わせたコーヒー豆は、生豆の大きさであったり、不良豆の混入率の違いで振り分けられ、ランク分けされていました。
この方法におけるもっとも大きな問題は、コーヒー農園が一生懸命丹精込めて作っても、その努力が評価されないということです。だって、一生懸命作っても、結局その他のコーヒー豆と混ぜ合わされてしまうのですから。
しかし、それからコーヒー豆の取引形態は進化し、コーヒー農園ごとに輸出されるようになりました。コーヒー農園の努力が、より認められるようになったと言えます。
しかし、ここにも問題があります。有名なコーヒー農園から作り出されたコーヒー豆であれば、全て品質が高いのかというと、そうではないということです。コーヒー農園といっても大きさは広大ですから、農園内で収穫されるコーヒーの品質は、かなり差があります。
いわゆる「スペシャリティコーヒー」と言われる品質に特化したコーヒー豆を作っているコーヒー農園であっても、生産するコーヒー豆の全てが「スペシャリティコーヒー」かというと、そうではありません。
コーヒー農園を運営するということにおいて、いわゆる量販用のコーヒー豆も生産しないと売上が立たないという現実があります。(ここらあたり、どこの国も事情は同じです)同じコーヒー農園のコーヒー豆であっても、標高の低い場所で収穫されたコーヒー豆と、標高の高い場所で収穫されたコーヒー豆とでは、品質は大きく異なります。
また、同じ標高で収穫された銘柄であっても、東の斜面に植え付けられたコーヒーの樹から収穫された銘柄と、西の斜面に植え付けられたコーヒーの樹から収穫された銘柄とでは、味のタッチが変わってきます。場所による自然環境が異なるからです。
ですから、コーヒー農園の銘柄を買い付けるという動きは、特定のコーヒー農園の銘柄を買い付けるというところから、さらに進化し、コーヒー農園内の生産ロットにまでこだわって買い付けるということになっています。
たとえば、土居珈琲が買い付けたコスタリカ ラ・スール農園からの銘柄。買い付けたのは、土居珈琲に向けて作られた特別ロットのものです。
20年前は、さすがにロットにまでこだわるということはありませんでした。ですから、テイスティングする銘柄の種類は、昔と比べて、爆発的に増えました。
銘柄のテイスティング風景。同じ農園からの銘柄であっても、ロットの違いによって、味は異なります
そして、これからもコーヒー取引の進化するスピードはもっと早まるはずです。
2019年は、どんなコーヒーが手元に届き、またお客さまにお送りすることができるのか。考えるだけでワクワクしてきます。