言うまでもないことですが、コーヒーは豆から粉に挽いてたてます。
飲むつどに豆から粉に挽くことが、そのコーヒーをより美味しく楽しむ方法であると、前回お話ししました。
では、粉に挽く際、粉の大きさはどう考えればいいのか。
挽いたコーヒー粉の大きさのことを、粒度(りゅうど)と言います。
この粒度は、抽出器具に合わせて選ぶことがセオリーと言われています。
コーヒーの粉の粒度は、たてかたによって選びます。
粒度の種類は以下の4つに分けられます。
■粗挽き
■中挽き
■細挽き
■極細挽き
コーヒーを抽出する方法として、ペーパードリップでたてる方は多いと思います。
濃度の調整がきかせやすく、一回一回ペーパーフィルターを変えるペーパードリップ式は、器具の清潔度をより保ちやすい抽出方法です。土居珈琲ではペーパードリップ抽出の場合は、銘柄の持ち味をより活かすために、細挽きをおすすめしています。
時間をかけて、より濃度を高く抽出する水出しコーヒーも、細挽きがおすすめです。
コーヒーメーカーによる抽出は、中挽きをおすすめしています。その理由は製造しているメーカーによって、お湯が落ちるスピードに、かなり幅があるためです。まず中挽きで抽出いただき、その味を試し、もう少し濃度が高い方が好みであれば、細挽きでたて、逆にもう少し濃度が低いコーヒーが好みであれば、粗挽きをお選びいただくということになります。
ご使用いただく方は少なくなりましたが、ネルドリップでたてる場合は、中挽きをおすすめしています。ネルドリップは、手でお湯を落とす早さに、かなり個人差があるからです。まず中挽きの味を基準にして調整いただいたほうがいいでしょう。
コーヒーの粉とお湯が直接触れるカフェプレスを使用する場合、成分が抽出されやすいので、粗挽きでたてることをおすすめしています。
苦みをより強く抽出するエスプレッソ抽出は、極細挽きをお選びください。
わたしが若いころ、粉の粒度は抽出器具において変えることを、かなり厳しく言われました。これは、当時、喫茶店文化が主流となるなか、味の安定がなによりも重要視されていたからでしょう。
ただ、お届けしているコーヒーは、大量生産品ではなく質にこだわって作られたものです。そうした前提のもと作られた銘柄は、どの濃度でたてたとしても、それぞれの味わいを楽しませてくれるはず。
ですから、品質の高い銘柄においては、粉の粒度は、あくまでも目安のひとつです。
「贈り物としてコーヒーを相手さまに送りたいのであるが、どのような道具を使ってたてているか、わからない」という場合は、中挽きをお選びください。どの抽出器具でたてても、美味しく楽しんでいただけるはずです。