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「焙煎してから日数が経過してしまったコーヒーを、美味しく楽しむ方法を教えてください」

先日、お客さまより、お電話をいただきました。

お電話いただいた内容は、「入院をしてしまった。無事退院したのであるが、届いたコーヒーが、焙煎してから日数がかなり経過してしまった。このコーヒーを美味しく楽しむ方法はないか」というものでした。

焙煎してから日数が経過したコーヒーを、焙煎の鮮度が新しい状態のときの味に戻すことはできません。コーヒーは時間が経過すると、どうしても成分変化がおきます。

成分が変化することによって、味の劣化を感じるということになります。当然香りも弱まります。

考えられるのは、コーヒーのたてかたを工夫することになります。ただ、たて方でそれほど味は変わりません。たてる杯数と、使用する粉の量の基準を守れば、だれがたててもそれほど、味の違いは生じないからです。

ただ、先日長くコーヒーを注文してくれている友人の家に届いたコーヒーを見て驚きました。その友人は、ペーパーフィルターでたてているにもかかわらず、長い間、「極細挽き」の状態で注文していたのです。「極細挽き」は、エスプレッソ抽出でたてるときに選んでいただく粉の状態です。「極細挽き」で挽いたコーヒーをペーパーフィルター抽出でたてると、コーヒーのエグミがでてしまいます。それでは、その銘柄の持ち味が生きません。粉の状態は、たてる方法でお選びください。

話をもどします。

従来まで流通しているコーヒーのほとんどは、焙煎してから時間が長く経過してしまっていたものでした。いつ焙煎されたのかということを注目されることは、まずありませんでした。いまでも、多くの方が、焙煎の鮮度が新しい状態のコーヒーの味を体験したことがないと思います。

焙煎してから時間が経過したコーヒーは、料理で言えば、原材料の鮮度が落ちた状態です。素材の鮮度が劣化したものを美味しく楽しむためには、調理の手を加えるということになります。

コーヒーにおいて手を加えるということは、ミルクや砂糖を加えるということになります。
コーヒーと牛乳の量を同じにしてたてる「カフェオレ」とすれば、コーヒーの焙煎の鮮度が劣化したコーヒーも、ミルクの味でその味わいはおぎなわれるでしょう。

あらためて焙煎の鮮度が新しいコーヒーは、素材の鮮度が新しいということですから、なにかを加える必要がありません。ブラックで飲んでも美味しいはずです。とくに、焙煎の鮮度が新しいコーヒーで味わっていただきたいのは、温度が冷めたときの味わいです。

美味しいコーヒーの条件は、温度が冷めても美味しいということである、と考えているからです。お手元のコーヒーの焙煎の鮮度が新しい状態であるなら、ぜひ、冷めたときのコーヒーの味わいを、楽しんでみてください。