土居珈琲 珈琲焙煎士・土居博司は、こう考えています。
「コーヒーは、“量”を追えば、かならず“質”が損なわれる」。
コーヒーは、昔から“質”よりも“量”が優先されてきました。コーヒーをもっとも多く消費するアメリカです。この国ではコーヒーは、無料で提供されるサービス品だったためです。このため、原産国においては、なによりも大量にコーヒー豆を作ることが求められました。
そして、大量に作られるコーヒーの味に求められたのは、味の「安定」です。
しかし、味の「安定」を重視すればするほど、採用する銘柄は限られてきます。いつも同じ味のコーヒーを作り出すためには、大量に生産された銘柄を使用しなければならないからです。
しかし、近年においては、一部のコーヒー農園において、”質”の高い銘柄を生み出そうという動きが生まれました。こうしたコーヒー農園では、常に前年に作ったコーヒーの味を超える銘柄を作り出す努力を重ねています。
たとえば、同じ農園の銘柄であっても、収穫された年度の違いによって味は変化します。また、天日乾燥や洗い乾燥などといった異なる栽培方法、コーヒーの樹を山の斜面に植え付けるのか、平地に植え付けたかといった作地環境のちがいも味に変化をおよぼします。
こうした味の変化におけるデータを集め、その味がどのように変化するか研究しているのです。こうした”質”の高さを求めて作り出されたコーヒー豆は、味の安定を重視するならば採用することができません。味の向上は、違う面から見ると味の安定が損なわれていると言えるからです。
土居珈琲の珈琲工房で行っていることは、いまこの瞬間、世界に存在しているもっとも品質の高い銘柄を買い付け、その銘柄の持ち味を、自分たちが高めた焙煎技術で最大限引き出すことです。
”量”ではなく、コーヒーの”質”の高さを追い求めつづけることこそが、土居博司をはじまりとした土居珈琲が、もっとも優先していることです。