コーヒー農園といっても、国よって形はさまざまです。たとえばブラジルのコーヒー農園はどのような形をしているのか?
ブラジルはコーヒー生産量世界第一位の国。国内にはたくさんのコーヒー農園が存在します。ブラジルのコーヒー農園はどこも大きさが桁違い。農園の大きさが山の頂上から見える地平線の彼方までというコーヒー農園もたくさんあります。そのなか、ブラジルのコーヒーのほとんどは「大量生産品」を目的として作られたものです。
大量にコーヒー豆を作ることを最優先するので、ほとんどの農園は「効率」を重視しています。ですから、多くの農園が機械を導入してコーヒー栽培を行っています。こうしたことから、正直言うとブラジルのコーヒー農園をまわっても、わたしは大きな発見をすることは、あまりありません。機械をたくさん導入した農園は、わたしにとってどれも同じに見えてしまうからです。
しかし、ブラジルのコーヒー農園に対してのわたしの考えをくつがえしてくれた農園がありました。その農園が「ダテーラ農園」でした。
なぜわたしの考えはくつがえされたのか?
その理由は、農園内で野生動物や野鳥が、普通に存在し生活をしていたからです。
農園内では、野生の動物や野鳥がサファリパークのように普通に歩いていた。
野生動物が普通に歩いているということは、自然の環境がそのまま守られているということです。ダテーラ農園は、自然環境をそのままに維持しながら、野生動物と共存しながらコーヒー栽培を行っていたのです。自然環境を維持させたままコーヒー農園を運営する。これほど「非効率」なことはありません。
そのコーヒー栽培における作業には、とにかく膨大な量の「人の手間」がかかっていました。
ダテーラ農園は、ブラジルでも有数の大農園です。その広さは、他のコーヒー農園のものと決してひけをとりません。
その大農園が、効率を無視して家族経営の小規模農園でやるようなことを行いながら、コーヒー栽培をしていたのです。
ダテーラ農園 品質管理責任者 アンドレッサさん。銘柄の味の違いを鑑定している。
一日中ダテーラ農園のなかを案内されながら、農園品質管理責任者 アンドレッサさんに質問しました。
「こんな大規模農園で、人が手間ひまかけた栽培方法を行っているコーヒー農園は、はじめて見ました。どうやったら、こんな農園を作り出せるのですか?」
アンドレッサさんは笑いながら答えました。「ここで働く人全員、ただコーヒーが好きなだけですよ。でも、みんな、ちょっと変わってます。私をふくめて」
コーヒーの実を収穫する農園スタッフ。ダテーラ農園では人間による手作業でコーヒーの実を摘み取っていた。
変わっているって素敵だなと思えました。