“喫茶店のコーヒーに対する反発。”
コーヒーを作っている会社の人間が言うのもおかしいですが、わたしたちは当初、ここから「コーヒー」を考えました。
わたしたちは、ご家庭でもっとも美味しいコーヒーを楽しめるのであれば、それが一番いいのではないかと考えたのです。
「喫茶店」といえば、多くの方がコーヒーの専門店だとお考えでしょう。しかし、喫茶店でコーヒーを飲んで、心から美味しいと思えたことは、何度あったでしょうか?
それに反して、現在、わたしは家庭で楽しむコーヒーは心から満足のいく最上の味わいのものであると確信しています。なぜなら、家庭でたてるコーヒーは、「その方のためだけに」ということを数多く積み重ねることができるからです。
喫茶店で提供されるコーヒーこそが一番美味しいと考える理由。それは、喫茶店でコーヒーをたてている人が、高い抽出技術を持っているはずとお考えだからではないでしょうか。
しかし、コーヒーは抽出技術を問う前に、美味しくたてるための欠かせない条件があります。それは以下の3つです。
・焙煎の鮮度が新しい豆を使う
・豆のまま保存されていて、抽出する直前に粉に挽く
・淹れたてのコーヒーが出される
土居珈琲をご愛飲いただいている方にとっては、「当たり前」のことです。しかし、この「当たり前」の3つの条件は、喫茶店においてはどれも守ることがむずかしいのです。なぜなら、喫茶店は常に、不特定多数の方を想定してコーヒーを用意しておかなければならないからです。
喫茶店では、お客さまが常に決まった人数来るというわけではありません。忙しいときもあれば、暇な時もあります。しかし、お店としては、一番忙しいときに合わせてコーヒーを用意しておかなければなりません。ですから、常に多めにコーヒーの在庫を確保しておかなければなりません。この間に、コーヒーは焙煎してからの時間が、どんどん経過していきます。
また、お客さまがもっとも集中する時間帯は、朝と昼です。この時間帯にコーヒーをたてる都度、豆から粉に挽くということをしていたら、それだけお客さまを待たせてしまいます。ですから、あらかじめコーヒー豆は粉に挽いておく。そして、時間のあいているときに、多めにコーヒーをたてておき、加熱保温しながら置いておく。こうしてたてられた”コーヒー”が、多くの喫茶店で提供されていました。
しかし、ご家庭でたてるコーヒーは、上記のようにたてられた”コーヒー”と異なります。
・焙煎の鮮度が新しい豆を使う
・豆のまま保存されていて、抽出する直前に粉に挽く
・淹れたてのコーヒーが出される
この3つの条件がそろえられて、たてられているからです。
抽出の技術より大切なことは、コーヒーをたてるとき、「その方だけのために」ということを、どれだけそろえることができるか、です。それは、コーヒーを作るうえにおいても同様です。