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コーヒーの世界を変える。

農園から直接銘柄を仕入れるということ。  「日本のお米とコーヒーは、逆の動きをしている」コーヒーの取引をしていると、そう感じることがあります。
 日本のお米は一昔前まで、特定の農家で作った米を買うことができました。しかし、今は、いろいろな農家で作られた米が混ぜられて、市場に出ることになっています。コーヒーも一昔前までは、いろいろな農園で作られたコーヒー豆が一か所で混ぜられ輸出されていました。ですから、当時は銘柄を見ても、それが作られた農園を特定することは不可能でした。


 2000年ごろになると、一部ではありますがコーヒー農園を特定して、その農園から直接、銘柄を取引することが可能となってきました。これは、コーヒーに対して、「量」ではなく「質」を求める動きが生まれたためです。自分が作ったコーヒーが、他の農園のものとまぜられるのであれば、一生懸命つくろうという気持ちには、なかなかなれないものです。ですから、当時は良い豆があっても年を重ねるたびに品質が落ちていくということが、よくありました。特定の農園と取引をすることが可能となってからは、コーヒーの品質は劇的に向上しました。自分たちが作ったものが、結果他の農園のものと混ぜられるということであれば、やはり努力のかいがなかったのでしょう。自分たちの農園名をはっきり出して作られた銘柄は、作り手がことさら努力を重ねて作っている分、大量生産を目的とし作られた銘柄とは、品質面で一線を画しています。
 こうしたことから、土居珈琲で買い付ける銘柄は、原則農園が特定されたものだけを買い付けるようにしています。品質が高いということに加えて、その銘柄から作り手の「魂」を感じることができるからです。
 そうした作り手の「魂」を感じる銘柄を焙煎することは焙煎士としては緊張感をともないますが、とてもたのしいことです。