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今のコーヒー豆のほうが品質が高い。

コーヒーの「今」と「昔」  「昔のコーヒーのほうが美味しかった」

 これは、よく聞く言葉です。

 この「昔のコーヒー」とは、一九七〇年頃の喫茶店ブームのコーヒーです。しかし、この一九七〇年頃のコーヒーは、本当に美味しかったのでしょうか?

 このことを考えるとき、まずコーヒーの品種について理解する必要があります。コーヒーは、大きくふたつの品種にわけることができます。

 ひとつが「アラビカ種」、もうひとつが「ロブスタ種」です。品質が高いのは、「アラビカ種」です。アラビカ種は、収穫量が少なく、天候不順や病害虫に弱いのですが、芳醇な味わいと濃厚な香りが楽しめます。これに対して、「ロブスタ種」は病害虫や気候の変動に強く、一本のコーヒーの樹から収穫されるコーヒーの実が最も多い、という特徴があります。

 ロブスタ種の味の特徴は、強い苦味です。苦味といっても、アラビカ種のような清涼感を感じさせる苦味ではありません。また、土臭さやカビ臭をともないます。それ以外にも「ロブ臭」という独特のにおいがあります。この「ロブ臭」とは、「麦を焦がしたような香り」と例えられます。

 品質において劣る「ロブスタ種」のコーヒーですが、昔、日本で流通しているコーヒーの多くが、「ロブスタ種」でした。その理由は、大量生産に向いており原価が安いためです。「コーヒーは苦手」という方がいますが、その原因は、最初に口にしたコーヒーが、「ロブスタ種」であったということがよくあります。そもそも一九七〇年代当時、コーヒーに対して「質」を求める動きはありませんでした。

 近代になってコーヒーの品質研究は進みました。これは「品質の高いコーヒー」を求める方が、世界的に多くなったためです。一部の農園では、品質の高いコーヒーを生み出すための努力と研究はすさまじいものがあります。こうした動きは、「昔のコーヒー」にはなかったことです。

 「一流」と称されるコーヒー農園から届くアラビカ種の生豆は、その表面が光輝いています。その姿は美しさすら感じさせます。

 そうした生豆を目にするたびに「今のコーヒー豆のほうが品質が高い」という思いを強くするのです。