今回も、土居珈琲を長くご愛顧いただくお客さまから、素敵なお話をお聞かせいただく機会を頂戴いたしました。神奈川県で「エクボ株式会社」をご経営されている清水美裕さまです。清水さまには長きにわたり、ご愛飲いただいております。まず最初に、土居珈琲をはじめてご注文いただいたきっかけからお聞きしてよろしいでしょうか?
土居さんの小冊子が、きっかけでした。
土居さんのコーヒーを知ったのは2006年だったと思います。
わたしの会社は創業1998年で、わたしと家内の2人ではじめました。
当初は、まだ小さなビジネスだったので、どのようにして自社の商品を販売していこうかと、お客さまにアピールする方法を探していました。
そのようなときです。わたしはコーヒーが好きで、次に購入するコーヒーを探していたら、偶然、土居さんのホームページを見つけました。ホームページの文章を拝見して、「これは!」と思い、注文しました。
そのときは、土居珈琲のブレンドを申し込みました。そうしたら、すごくスッキリくるじゃないですか。「何だ、これは!」と思いましたね。「本物というのは、こういうものなんだ」と。
もちろん、今までも水もふくめていろいろ試しましたけど、なかなか良いコーヒーに出会えなくて。ですが、土居さんのところは、間違いなくローストしてすぐ発送していると分かりました。それで、ほかに良い銘柄がないかなと見ていたら、「小冊子があります」という案内を見つけました。それで、その小冊子を取り寄せたんです。
当時、わたしが書いたあのつたない内容の小冊子ですね。
その小冊子は、今までされてきたことを淡々と書かれてた。それを読んで、わたしのなかで「訴えるものがあるな」と感じたのです。それで、わたしもこの方法でお客さまにわたしの想いを訴えてみようと思い、小冊子を書きました。そのときのわたしが書いた小冊子が、これです。
ああ!
ほぼ同じでしょう。おかげさまで、これを書いたことから、自社の事業がはじまりました。最初はたったひとつでしたが、1年間で23の代理店ができました。まさに土居さんのおかげです。
そんなことが。恐縮です。
どうすれば“良さ”は伝わるか。
土居さんもそうですし、わたしもそうなのですが、自社の技術には、絶対の自信がある。正直、「使ってもらえればわかってくれる」と思うところがある。ただ、その使ってもらえれば分かるの、「使ってもらう」までの距離がね、とっても遠い。
自分がつくるものの“良さ”を伝えるむずかしさ、ですね。どのように“良さ”を伝えていったのですか?
“良さ”の価値はそれぞれで違う。では、どうすればそれが伝わるのか。
「これを作った想いを伝えるしかない」。わたしはそう思ったのです。
そうするなかで、わたしの場合は、割り切ることにしました。この“良さ”を理解してくれる人たちだけでいい。そうした人との距離は近くなる。距離が近い分だけ話が通じます。
亡くなった父が残した技術書に、こう大きく書いていました。
「数を追えば、質は必ず失われる」。
そのことを清水さまのお話をお聞きしながら、思い出しました。
コーヒー1杯で、人を招きたくなるものです。
今、清水さまをはじめ、わたしどものお客さまにお会いし、お話をお聞きしていると、共通して感じることがあります。ご高齢の方が多いのですが、みなさん、おどろくほど若くて、エネルギッシュです。
ああ、わかる気がします。
お話をお聞きしていて感じるのは、若さの秘訣は、好きなことを楽しまれていること。このことが一番大きいのだと、あらためて清水さまとお話をさせていただき思いました。
土居珈琲さんを選択する人というのは、人生を楽しまれている方が多いと思います。そうなるとやはり、ご高齢の方になる。
そうした人たちへ常に訴えるなにかを、作り手として追い求め続ける必要があると思います。
ありがとうございます。
わたくしどものコーヒーが、本当に飲む方のお役に立てているのかどうか、直接お話をお聞きしないと、なかなかわからないものでして。
他のお客さまも、きっとそうだと思いますが、わたしの場合は「コーヒー1杯で人を招きたくなる」のです。コーヒーというのは、どこでも手に入るようになった分だけ、違いが分かる。だからこそ「このコーヒーを飲んでみてくれ」と言って、身近な人を招きたくなる。これは、実はとても大きなことだとわたしは思います。
コーヒーを作るものとして、今、清水さまから言っていただいたことは、自信になる一言でした。本当に貴重なお話をありがとうございます。
清水さまのご期待にこれからもお応えできるコーヒーを作っていこうと、気持ちを新たにした次第です。
わたしのような人間に向けた、とんがった商品もお願いしますね。
期待しておいてください(笑)。
どうも本当にありがとうございました。