コーヒーをお客さまが楽しむ時間、そして共に過ごす毎日。
そこには、そのお客さまだけの「物語」があります。
「お客さまに会いに行きました」。今回は、大分県にお住まいの此松信孝さまにお話をお聞かせいただけることとなりました。
「冷めてもおいしい。」
此松さまは、お客さまのなかでも、14年と非常に長く当社のコーヒーをご愛顧いただいております。どのような点が目にとまり、「試してみよう」とお考えいただいたのでしょうか?
インターネットを見ていて、目にとまったんです。届いたコーヒーを口にして、すぐに定期宅配に申し込んだ。それから、ずっとですね。
夜寝る前も飲むんですが、目が覚めて眠れないということがない。冷めてもうまいというところが、一番自分に合っているなと思う。
恥をかいて勉強することでしょうね。
此松さまは美術の教師をなさっていたとお聞きしました。人に教えるということには、いつも悩みがあります。教える秘訣はあるものでしょうか。
恥をかいて勉強することでしょうね。給料のなかで受けられる公立の研修があるのですが、これがつまらんのです。
勉強は、自分の意思とお金を使ってやらないと身につかない。工夫を重ねていったときに、「こんなやり方があったのか」という発見がある。これが美術教師の一番のよろこび。
生徒さまに関しては、どうでしょうか?
生徒の身になって考えること。美術教師は、5クラスあれば5時間、同じ内容の話をする。だけど、生徒にとっては、その時間は一生に一回しかない。
たとえば、課題にとりくむ子にとって、一生に一回きりなのに、教師がどう言うかというと「もらった材料を大事にしなさい」「最後まで完成させなさい」です。料理をつくるとき、材料を渡されて「1万円以上かかっているから無駄にするなよ」とか言われたら、そんなつまらないことはない。
能力は、どんどん出てくるもの。
生徒をしかったりすることはあったのでしょうか?
若いときはね。でも、それは間違い。美術の教師だと週に一回くらいしか生徒と接しない。そんな関係性の人間に、授業中にしかられたら、だれでもいやになります。だから、「しからずにほめましょう」というのは、そのとおりだと思います。
ほめると、人は自分自身が知らないレベルまで、能力がどんどん出てくる。もちろん、努力をしてないところを、下手にほめたらダメですが。
そこがポイントですね。
努力した事実があるところはほめる。ほめたうえで、ちょっとその生徒の心に響くひと言を伝えることが大事かなと思います。
ある生徒が卒業のとき、手紙をくれたんです。「僕の絵をとにかくほめてくれた。色をほめてくれた。あれがとってもうれしかったです」と書いてあった。
だから、引退した僕のとこへ来る、若い美術の先生に言うのです。「教えることは、自分が知っていたらできる。でも、いくら自分が知っていても、生徒は絶対失敗するし、行きづまる。生徒が失敗したとき、失敗したと思わせずに、切り返しができるようになったら、授業は楽しくなるよ」
貴重な話をありがとうございました。焙煎の現場でたいへん参考になるお話でした。本当にありがとうございます。